恐怖をのみこむ思想
いまわの際

恐怖をのみこむ思想

僕は、人間は、死んでしまった後、全くの「無」が訪れるとは思い
ません。かといって、霊魂になって天国に行くとか地獄に行くとか
考えているわけでもありません。

結論から言えば、人間は死んでしまった後、大宇宙の生命と一体に
なるんです。これは、僕が自分で考えたことでなく、釈迦が説いた
仏法から学んだことです。そして、また何かの縁によって、この世に
生まれて来ます。もちろんこの時に前世の記憶はありませんが。
人間の生命と言うものは、始まりや終わりがあるわけでなく、生と
死を大宇宙とともに、無限に繰り返しているんです。それは、一人の
人間の中で、細胞たちが生まれては死ぬのと同じことです。

１つの細胞が死んでしまっても、その細胞はその人間のために
何かの役割を果して死んでいったわけで、その細胞がなかったらその
役割は果たせなかったはずでしょう？
人間の生命も、同じように大宇宙と一体なんです。だから、今の
一生が終わってしまえば、その一生でしたことがが何も価値をなさ
ない、ということは絶対にありません。

だからこそ、今を一生懸命、頑張るべきなのではないでしょう
か。頑張って価値ある行動をする一瞬一瞬がそのまま、永遠に通
じると思うんです。 〜吉田正広さんの投稿より


　大体同じようなことを考えた（今も時々考える）のですが 、
基本的には答えは出ない（出せない）と思っております。
　似たようなことを考え、そして何とか整理しようとしてなぐり
書きしたこともあります。
　ただ、この問題に誰もが納得できる答えが出るのなら、きっと
誰かが答えてくれているいるはずだと思います。

　どうしても不安でしたら、抗不安薬をお勧めします。不安感を
和らげる効果は確かにあります。
　また、根本的な解決にはなりませんが、クライオニクス（脳を
冷凍保存して、未来の科学技術で生き返ることを目的とするもの）
という手もあります。
　もしそれが成功したとしても、時間を先送りするだけだ、
という反論はありますが。 〜匿名

　生まれてから長ければ数十年の記憶を、現世での肉体の死によっ
てリセットされること。私が憂えている死はこのこと。
　そんなにも現世だけにしがみついている自分が、人からはばかげ
て見えるとしても。

　だから、死が怖くて苦しんでいるとき、時間軸のない次元から
垂らされた糸に、必死でしがみつきたいような気分で、手は空を
握りしめている。

　たとえ、どんな教えや理論や思想があったとしても、それを
伝えているのは人間に過ぎない。
　科学的な理論に基づいた考えでも、宗教的な信仰によるものでも、
結局は人間が考えたり伝えたりしてきたもので、そのうちのどれを
自分の考えのよりどころにするか、何をとりあえず信用しておくか
は、自分自身が感じたり判断することだ。

　しょせん人間でしかない。
　そして、こういうわたしもまた、人間でしかない。

いまわの際

　死ぬことも生きることも、怖いと思うことが僕はあります。
　子供の頃、死んだらどうなるんやろ、何もないんかな、真暗なん
かな、そんなん怖いなと、血のひく思いがしました。
　何にも惜しくない命ですが、死ぬのが恐いときと、このまま死ん
でもいいかと思うときと、いろいろです。

　僕は、昔からよく夢をみます。最近は少なくなりましたが、正夢
とか偶然とか、こうしてメールを打っている自分も、夢の中で見た
ような気がします。
　あの世に行った夢も見ましたが、一つは真暗な道を延々と歩き、
もう一つは、三途の川を泳いでこの世に帰ってくるという、馬鹿な
夢です。
　偶然や正夢なんかが続くと、人の人生は決まっている？　そんな
風に思うことがあります。

　ただ、最近三十年近く生てきて、もし、自分がもういいと思える
ことがあったとしたら、いつ死んでもいいと、そんな風に思います。
　
　何時かは死ぬ。
　そやけど、人生決まってても、もがいてみよう。
　自分が死ぬ瞬間「ああよかった」と言える、そんな死に方を
したいと思います。 〜はしもとやすしさんの投稿より


　その瞬間を、私はどんな状態で迎えるのだろう。
　火の中か水の中か。断頭台から自分の頭が転げ落ち、「ああ、
体から離れて私の頭はいま、床に転がっている」と思う１５秒間
か。
　願わくば、住み慣れた場所に横たわりながら、自分の子ども
たちの顔と声をもう一度確認し、そっと目を閉じたら胎児の
ように体を屈め、小さくなろう。

　それが無理だとしても、少なくとも素直に死を受け入れ
られる状態になっていたい。「まだ死にたくない」ともがき
ながら死んでいくのは、損な最期だ。

　では、そのためにもいまの一秒一秒を大切に生きようという
ことになるのだが、死を恐れ、発作に喘いでいる数分間も、
私の人生の一部。苦しんでいる一秒一秒をも、そのままの形で
生きてゆきたい。

　誕生日を迎えて祝福されたりしながら、平気で年をとるように、
別れを惜しみながらも、平気で「生」から「死」への変容を
遂げたい。
　この世でのつかの間の人生を、満足げに思い返しながら。