幻消えてただ一人なり
狸か狢に化かされ、池に落ちて正気に返る。
破れ蓮の季節は晩秋？ 寒そう。（楽人）
月がきれいな夜は、本当に幻想的な
気分になるものですね。（安寿）
■選外佳作■
夢から覚めてただ一人なり
これは寂しい。（楽人）
夢の中に残った人々は、いままだ
酒宴を続けているのかも。（安寿）
ふれる指先冷たく染みて
あったかいものより、冷たいものが好きみたいです。私って。（風士）
真冬に金魚の水換えをしていてふと金魚に触れると、
ほのかに温かさを感じ「生きているのだなあ」と思います。
触れて冷たい破れ蓮は、まさに命のすべてを次のものに
与え尽くしてしまった抜け殻のよう。（安寿）
城駈け抜けし人のありけり
月に浮かんだ冴えた白壁の下、静寂を破り走る人は
何故｀駈ける｀のか、呼び止めるには切羽詰まって
いる。それにすべては過去の物語。（良士）
破蓮は敗荷とも書き敗残の姿にたとえられることも。
一国の歴史は勝者の歴史であれども、すべては敷き
詰められた敗者の上に積まれている。（安寿）
■選句後到着句■
鎖（さ）し忘れたる屋上のドア
前句の月影がくっきりと美しかったので、
蓮を思いきり月に近づけてみました。（あづさ）
天にもっとも近いドアが、わざと鎖し忘れて
あるのでしょう。（安寿）
戻る
「筑波の邪道」
ｎ次元空間