紅ひく唇に指触れかけて
思わず感じたほのかな色気に、気が付けば指をのばして
触れてみたいという衝動。一瞬のためらいと
恥ずかしさが交錯する。（蜻蛉）
前句の白とこの句の紅で婚礼の日の花嫁を思い、別解釈を
してみました。鏡にうつる姿は別人のよう。ここに
いるのが本当に自分なのか、そっと触れて確かめて
みたい気にもなるのです。（安寿）
■選外佳作■
かつて遊んだ空き地も消えて
子供の頃秘密基地を作った空き地も、今は駐車場に。
猫を追いかけて塀から落ちたとか、
いろいろと楽しい思い出があった場所なので、
少し寂しいです。（楽人）
私の実家の周りも、帰る度にマンションで囲まれて
いきます。窓やテラスから眺める景色が、どんどん壁に
なってしまう。（安寿）
うす紅のあどけなき頬（伊達）
こちらは蜻蛉さんの句とは対称的に、十三参りあたりの
少女を思わせます。大人びた色っぽさと、
まだまだ残っているあどけなさが、この時期の
独特の魅力をかもしだすのです。（安寿）
寄り添へばますます愛し時の垢
先日、子犬を買ったのですが、何とも無垢で不純物のない
真っ黒な目が印象的でした。時間の経過とともにこれも
濁っていくのでしょうが、人間の場合はその濁りが美しくも
見えるのです。人生の悲しみを知った目や楽しみを謳歌してきた
笑い皺はとても人間らしくて美しい。（ぴんぐー）
この深い皺の中に、これまで経験してきたいろいろな
感情がかくされているのだと思うと、ますます愛しくなる
ものですね。（安寿）
■選句後到着句
スッピンの笑顔に春の風がふく
女性は、白粉もいいけれど、素顔はもっとすてきですね。（あふー）
もしもこれが「選者近影」をご覧になってから書かれた
ものだとしたら、なんだか嬉しい。（安寿）
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「筑波の邪道」
ｎ次元空間